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FMV10周年を記念して
日経BP誌に掲載された記事をご紹介します。
Special Report 富士通 FMVの未来
誰もが快適・便利で安心な生活を送るために、PCは何ができるかを常に考えていきたい。
個人向けFMVが発売されて10年。PCがインターネットや携帯電話、デジタルカメラなどと共に爆発的な普及を見せる中、FMVは常に日本のPCの代表として、このイノベーションを牽引してきた。デジタル家電やワイヤレスLANなどの普及で、ホームネットワークが徐々に現実のものとなりつつある今、PCの役割はさらに大きくなろうとしている。果たしてこれからのPCとこれを取り巻く環境はどのように変化していくのか、そしてFMVはどのように進化していこうとしているのか、経営執行役/パーソナルビジネス本部長、伊藤公久氏に話を伺った。
(聞き手:日経パソコン編集長 渡辺洋之)
デジタル家電や他社PCとの垣根を越える
ホームネットワークへの試み

富士通株式会社 経営執行役 パーソナルビジネス本部長 伊藤 公久氏
富士通株式会社
経営執行役
パーソナルビジネス本部長

伊藤 公久 氏
− 最近のFMVはテレビやHDD/DVDレコーダーの機能を高いレベルで備えていて、PCもデジタル家電の領域を取り込みつつあるという印象を与えます。富士通としてはこれからのPCとデジタル家電の関係をどう見ているのでしょうか?
伊藤 PCとデジタル家電は競合するのか、共存するのかという議論がありますが、どちらかではなく両方あると思います。確かに最近、PCがデジタル家電の機能を持つようになってきましたから、競合の方が意識されがちですが、富士通としては共存の試みも進めています。例えば今商戦のFMVは松下電器さんのDVDレコーダー「DIGA」との連携を実現し、先月のWPC EXPOでデモンストレーションをおこないました。またこのWPC EXPOでは、FMVをNECさんのPCとつないでリモコンだけでコンテンツを楽しむという参考出展もしました。今、世界の関連企業がDLNA(Digital Living Network Alliance)という団体を作って、ホームネットワークの標準規格を策定していますが、こうした環境が整ってくれば、PCメーカーやデジタル家電メーカーなどの垣根を越えてAVコンテンツが自由に楽しめるようになっていくでしょう。富士通では今後も積極的に、デジタル家電や他社PCとの連携によるホームネットワークの実現を推進していく計画です。

PCの進化と共にますます重要になっていく
セキュリティと使いやすさ

− PCとデジタル家電の融合の先は、いわゆる白物家電までつながっていくのでしょうか?
伊藤 デジタル家電の定義がこれからどんどん拡大していくのは確実です。今のAV機器以外にも電子レンジやエアコン、洗濯機など色々な家電がより高度なコンピューターを搭載し、ネットワーク接続される時代がすぐそこまで来ています。さらに自動車や住宅もネットワークにつながっていくでしょう。PCはこうしたあらゆるものとつながることで、生活の快適さ、便利さをあらゆる角度からサポートしていくことになると思います。

− PCが生活全般に関わるようになると、PCに求められるものも変わっていくでしょうね。「こんなにすごいテクノロジーで、こんなにすごい機能を実現しました」といったことだけでなく、使いやすさやセキュリティといった要素が重要になってくるのではないかという気がします。
伊藤 おっしゃるとおりです。もちろんテクノロジーは重要で、富士通としては次世代DVDや地上デジタル放送、高速ワイヤレスLAN、燃料電池といった先端技術を積極的に活かしていこうとしています。しかし最終的にはそれらが安心で使いやすいものにならなければ意味がない。モバイルPCに業界で初めて指紋センサーを標準搭載したり、「FeliCa」のリーダー/ライターを搭載した企業向けノートPCを発売するなど、セキュリティに力を入れているのはそのためです。スルガ銀行様や東京三菱銀行様で採用された手のひらの静脈による認証システムなどの技術も今後、PCに応用していきたいと考えています。

− 「FeliCa」や静脈認証はセンサーに触れなくていいというのが魅力的ですね。これはセキュリティだけでなく、使いやすさにもつながると思いますが。
伊藤 使いやすさというのは富士通が最もこだわっているところです。FMVでは、リモコンやワンタッチボタンの採用など、簡単に使えるための様々な工夫をしていますが、今後も家電のような直感的な操作やユニバーサルデザインの採用など、使いやすさをさらに追求していく必要があると考えています。

サポート、品質管理、環境への対応などすべてがそろってはじめて
FMVは生活を支えるツールになる

− 富士通は品質管理やユーザーサポートなど、あまり目立たないところにも相当力を入れていますね。これからPCが本格的な生活インフラになっていくために、これはとても大切なことだと思います。
伊藤 富士通のFMVはアメリカの『PC Magazine』誌で「信頼性が最も高いPC」に選ばれています。これは国内一貫生産や部品ベンダー様との協力による徹底した品質管理など、品質向上のための様々な取り組みの成果だと考えています。サポートも去年から大幅に強化しました。コールセンターのつながりやすさを飛躍的に改善したほか、引き取り修理サービス「パソコン修理便」では、平均5.5日で修理を完了できる体制になっています。こうした品質やサポートがしっかりして初めてお客様のFMVに対する信頼が生まれるわけですから、富士通ではこれからもこうした面にもこだわっていきたいと思っています。さらにもうひとつ、富士通では環境対策にも積極的に取り組んでいます。再生プラスチックなどの環境配慮型素材や大豆インキを使用した包装箱の採用をはじめ、工場のゼロエミッション活動、物流におけるモーダルシフトの推進、リサイクルなど、ライフサイクルを通して環境に配慮しています。

− 富士通はこれまでも日本のPC業界の中で色々な新しいアイデアを提示してきました。PCの役割が大きく変化・拡大しようとしている今、さらに新しいPCのありかたを提案するのも富士通の使命かなとも思います。
伊藤 FMVは10年前には想像もできなかったような進化をとげました。これからの10年はさらに加速度を増しながら進化していくでしょう。富士通はこれからも常に最先端の技術を活かし、FMVを生活になくてはならないツールにしていくと同時に、お客様の様々な夢をかなえられるような、さらに刺激的なツールへと進化させていきたいと思います。

松下電器のDVDレコーダー「DIGA」とつながったFMV
この秋、富士通と松下電器はFMVと DVDレコーダー「DIGA DMR-E500H」との連携を発表。これはFMVと「DIGA」をネットワークを経由して結び、「DIGA」で録画した番組をFMVで見られるというもの。また、FMVのAVコンテンツを大画面テレビで楽しめる「MediaDrive」という製品もある。様々な形でデジタル家電と連携するFMVの今後の展開が楽しみだ。

FMVとNECのVALUESTARの間でコンテンツ共有
先月開催されたWPC EXPOで、富士通はFMVとNECのVALUESTARをつないで、AVコンテンツをリモコンで簡単に楽しむというデモをおこなった。PCは設定が複雑で、異なるPC間ではなかなかコンテンツを簡単にやりとりできないのが現状だが、このデモではどちらのコンテンツなのかを意識せずにリモコンで簡単に楽しむことができた。これから本格化するホームネットワーク時代を象徴する画期的な試みと言えるだろう。

ネットワークの未来につながる一つの提案  富士通がサービスロボットを開発
富士通はこの秋、オフィス・商業施設向けのサービスロボットを発表した。このロボットはイベントでの情報提供や、オフィスでの郵便などの搬送、来客の受付や誘導案内、施設の巡回・見回りといった作業ができる。人間の要望を理解して、様々なサポートをしてくれるロボットは、PCや家電と融合して究極のネットワーク・ツールとなるだろう。
本企画記事は「日経パソコン」11月22日号、P160〜161からの抜粋です。
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