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六本木、新宿、横浜で外国人が集まる酒場を直撃! インバウンドに向けたサービス教えて!

外国人が多く集まる街、六本木、新宿、横浜。そんな街の中でも、最も外国人が集まりやすい場所のひとつに酒場があり、これらの街には海外のお洒落な雰囲気を醸し出すスポットが点在しているのが特徴だ。外国人にとっては自国のような雰囲気でほっこり落ち着けて、日本人にとっては異国情緒が漂い旅行気分が味わえる各街の酒場スポット。そんな様々な言語が漂う空間で働く人たちに、インバウンド需要に対する取り組みや、外国人がたくさんいる店での楽しみ方などについて、語ってもらった。

バスタ新宿すぐ! バス旅に出る外国人が多く集まる
ガード下から、アジアンMixカルチャーを発信

新宿駅南口の甲州街道ガード下でアジアンテイストを漂わせ、写真映えするスポットとしても話題となっている「サナギ 新宿」。ここはイベント、食、カルチャーをミックスさせた、アジアの屋台村をイメージさせるカフェ&クリエイティブスペース。「4つの屋台ブースで、アジアンテイストなフードとアルコールを味わいながら、音楽やアートに触れられるカルチャースポットです」と、店長の浅原満さんは話してくれた。

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――外国人のお客さんはどのくらい来店しますか?

浅原 新宿は、様々な国籍や世代の人が多い街なのでどの国、地方というのはないのですが、バスタがすぐそばにあるのでバスのタイミングや、ツアーの空き時間に来店する方々が多い印象です。大体の4〜5名でいらっしゃいます。

――外国人に向けたサービスなど、工夫を凝らしていることはありますか?

浅原 韓国語が話せるスタッフがいて、台湾出身のスタッフが中国の方にも対応してくれていますが、とくに特別なことはやっていません。欧米人には、中学生レベルの片言の英語とジェスチャーなどで対応できています(笑)。単語や表現などちょっと難しいことは、タブレット端末などを使ってコミュニケーションをとっています。外国の人とコミュニケーション取っているうちに、日本語は、知らないうちに様々な言語がMixされているって気がつきました。例えばパンってフランス語なので、イギリス人などには通じないんですよ。

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――アジアンフードやおでん、寿司など、欧米の人には分かりづらいメニューも多いと思いますが、どのように伝えていますか?

浅原 本社にバイリンガルなドイツ人のスタッフがいるので、メニュー表を英語表記に訳してもらいました。でも、意外とおでんを知っている人が多いのには驚きましたね。寿司はカリフォルニアロールをアレンジしてコチュジャンを入れたりして、アジアっぽさを演出しています。面白いのは、外国人はビールって呼ばずに、なぜか「アサヒ」って 、メーカー名で呼んでいますね。あと、オリジナルで作ったワンカップ酒「サナカップ」(810円)も好評です。

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――オリンピックに向けてどんどんインバウンド需要は増えていきますが、どのようになっていったらいいなと思いますか?

浅原 相互翻訳ができるツールができたらいいなって思いますが、まだまだ誤訳が怖いですよね。先日、「飲食店でアプリを使って訳したら、放送禁止用語で訳されて問題になった」というニュースを見かけました。お互いに訳した言葉が合っているのかがわからないので、まだまだ不安です。そういうツールが確立されてくるととても便利ですが、旅の楽しみが半減するかもしれないですよね。旅の思い出のひとつに、「言葉が通じない面白さ」もあると思うので。ある程度、不便な部分は残しつつ、トラブルに巻き込まれない絶妙な感じが理想なのではないでしょうか。

■サナギ 新宿
住所:東京都新宿区新宿3-35-6 国道20号線高架下
電話:03-5357-7074
時間:ランチ11:00~15:00、カフェ15:00〜17:00(各LO)、ディナー17:00〜23:30(LOフード22:30、ドリンク23:00)
定休日:不定


世界最大級のテキーラとメスカルbarで
ラテンのマニアックな世界を堪能!

次に訪れたのは、昼夜問わず外国人が多く集まり、様々なジャンルの酒場が存在しているインターナショナルなエリア六本木。六本木で唯一であり、世界最大級のテキーラ&メスカル barとして知られる「アガヴェ」は、常時570種類の銘柄が揃えられ、連日多くのファンで賑わう本格志向のバー。メキシコ革命が始まった1910年頃のメキシコをイメージした店内には、30~40年前のマリアッチなどラテン音楽が流れ、まるで当時のメキシコにタイムスリップしたかのような雰囲気が楽しめる。そんな大人の社交場を取り仕切るマネージャー佐々木宗彦さんに話を伺った。

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――どのくらいの割合で外国の方が訪れていますか?

佐々木 日にもよりますが、だいたい3〜4割くらいの方が海外からのお客様ですね。アメリカを中心に欧米各国、メキシコなど中南米の方が多いです。たまにシンガポールなど東南アジアの方もちらほらと。アメリカを中心に、メスカルのブームが巻き起こっていて、それを求めて来店する方が多いですね。メスカルだけで120〜150種類くらい揃えているので、日本に正規輸入されていないものなども、独自のルートで仕入れていているのが魅力です。ショットで1,300円くらいから楽しめます。皆さん次に行くための景気付けだったり、〆に2〜3杯飲んで行かれます。

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――アプリやAIなどのツールをお店で活用はされていますか?

佐々木 英語、スペイン語が話せるスタッフがいますので、お客様とのコミュニケーションは、今のところフォローできています。AIスピーカーや翻訳ツールの精度がもっと上がって、テイストや香りなど細かいところの説明に対応できるようになると、助かる場面は増えるでしょうね。あと、旨味など日本特有のニュアンスなどを伝えるのは難しいかなと思うので、テキーラやメスカルの種類など詳細がわかるアプリなどが開発されたら便利ですね。
情報ツールという面では、六本木のナイト情報を紹介しているYouTuberが、動画でアガヴェをアップしてくれていたり、海外の旅行情報サイトに載っていたりして、それを見た方が海外から来店するというパターンも増えています。店としても、FacebookやInstagramを開設していて、そこで情報を発信しているのでフォロワーは世界中にいますね。

――テキーラやメスカルのオススメのお店ならではの飲み方はありますか?

佐々木 ひと昔前でしたら、飲んだ後にライムを口にしていたのですが、ウイスキーのようにゆっくり味わう方が傾向として多く見受けられます。近年蒸留技術が向上したことと、原材料を100%使用するものが主流となり、味わいが格段にスムーズになってきているのがその理由です。飲み方もショットグラスだけでなく、「スニフター」というブランデーグラスのミニチュアのようなグラスや、足の長いシャンパングラスのようなテキーラ専用グラス、さらにヒョウタンで作られたヒカラというメキシコの酒器など、様々な飲み方で楽しめます。最近のブームとして、メスカルを使ったカクテルも話題ですね。あと、シガー(「パルタガスSERIE D No.4」(2,300円)など)も販売しているので、テキーラやメスカルと葉巻のマリアージュも醍醐味のひとつです。

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――オリンピックに向けて、その終わったあと、未来に向けての展望などありますか?

佐々木 そうですね。外国の方はオープン当初からいらしてくださる方もいますし、そういう方々に支えられてここまでやってこられたというのもあります。このマニアックかつトレンドを生み出す世界にハマる方は非常に多くいらっしゃるので、2020年に向けてますます外国からのお客様も増えることが予測されますが、そういった方々にもひとりでも多くファンになっていただき、「アガヴェ」2号店、3号店と展開していければと思います。

■アガヴェ
住所:東京都港区六本木7-18-11 DMビルB1
電話:03-3497-0229
時間:18:30〜2:00(LO1:30)、金曜、土曜18:30〜4:00(LO3:30)
定休日:日曜、祝日の月曜

東京五輪&ラグビーW杯で注目される横浜。
本場イングリッシュパブで異文化コミュニケーション

最後に話を伺ったのは、横浜で最古のイングリッシュパブ「ザ・タバーン」。イギリス・ブリストル出身のジョン・ワトキンスさんと日本人の奥さんが切り盛りするパブを訪れる客は、イギリス人を中心に欧米人が約半数を占め、英語と日本語が飛び交い、本場のイングリッシュパブの雰囲気がそのまま楽しめる空間だ。
元々は客船専属のカメラマンだったオーナーのジョンさん。横浜や神戸などを何度か訪れているうちに、故郷に似た港町の横浜が好きになり、34年前に横浜中華街でパブをオープンさせたのが始まり。その後、現在の場所に移転し、奥さんともこの店で出会ったそう。

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――お店の雰囲気は、何かモチーフにしたものはあるのですか?

ジョン モチーフにしたというより、自分が行ったイギリスのパブのディテールを思い出しながら、自分の理想とするイングリッシュパブに近づけるようにしました。出張や旅行で来日中の外国人たちには、日本文化から解放しホッと落ち着ける場所として、逆に日本人には日常と違う異国情緒が楽しめる場所として、お互いが交流できる場所として親しまれています。

――温かみがある雰囲気ですが、お店でお客さんが喜んでいることは?

ジョン ビールは「ロンドンプライド」(Pint1,050円)、「ギネス」、「キルケニー」(各Pint1,020円)などの伝統的なビール6種と、クラフトビール4種が、全て樽生で味わえます。たくさん注文してもらえているので、すぐ入れ替えるため劣化もなく「美味しい」って評判です。泡も本場と同様に少なめにしているので喜ばれますね。日本はどこも泡が多めなので(笑)。あと、「ビンダルーカレー」(1,350円)や「フィッシュ&チップス」(1,240円)は、本国よりイギリスで食べるより旨いとよく言われます。

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――お客さん同士は、コミュニケーションをどうやってとっていますか?

ジョン 外国人も日本語が話せる人が多いですし、日本人の中にも英語が話せる人もいるので、カウンターやテーブルで隣同士になったら、お互いが片言で話して成立していますね。海外からの観光客の中には日本語に触れたい人が多く、日本人には英語を学びたい人が多いので、その辺のバランスは上手くとれているようです(笑)。

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――インバウンドに対応するために工夫されていることはありますか?

ジョン Wi-Fiは無償で解放していますよ。ありがたいことに、長く店をやっているとお客さんも代替わりをするんですよ。日本に赴任していたお客さんが母国に帰るときに、交代で来日する人に店を紹介してくれたりして、新しいお客さんが増えるんです。そうしているうちに、お客さんから日本での生活について色々相談されるようになりました。例えば、マヨネーズは海外ではビンに入っているけれど、日本では独特なチューブに入っている。そんな些細なことも初めての人にはわからないので、日本で生活するために必要な情報が得られたり買い物ができたりするWebサイトを作ろうと思っています。日本でどうやったら楽しめるか、いろいろ教えてあげたいですね。
横浜はオリンピックだけでなく、ラグビーのワールドカップも開催されるので、非常に楽しみにしています。

■ザ・タバーン
住所:神奈川県横浜市西区南幸町2-14-9 西口明和ビルB1
電話:045-322-9727
時間:17:00~24:00(LO23:30)
定休日:なし

それぞれのエリアや店のジャンルによっても、訪れる外国人たちとのコミュニケーションの取り方はそれぞれ。ただ、どの店もインバウンド需要に対してはウェルカムであり、少しずつ便利になっていく世の中に対して、知らず識らずのうちに新しいツールに対応し、店の取り組みとして自然と取り入れているようだ。これから先2〜3年後にどう進化していくか楽しみだ。

※価格は2018年5月31日現在のもので、全て消費税込みの金額です。

文/コネクティプス編集部

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