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ロボットが接客するホテル。客室内タブレットサービス導入でIoTを実現

 H.I.S.のグループ会社であるH.I.S.ホテルホールディングスが手がける、話題のホテルが「変なホテル」だ。インパクト抜群のネーミングに加え、ロボットが受付で接客するなど、独自のサービスが特徴。都内5拠点目、全国では8拠点目となる「変なホテル東京 赤坂」が7月20日に開業したばかり。そこで、インバウンドの取り組みについて、「変なホテル東京 赤坂」のマネージャー・マイクさんに聞いた。

開発秘話もユニークな「変なホテル」

 「長崎にあるテーマパーク『ハウステンボス』に隣接した『変なホテル』が1号店です。"ロボットがスタッフとして初めて働いたホテル"としてギネスにも認定されました。『ハウステンボス』は、H.I.S.グループの傘下で、敷地内は私有地です。だからこそ、実験の場としていろいろな技術やサービスを試すことができます。その中の一つとしてスタートしたのが『変なホテル』です。「滞在時の快適さと生産性の高いホテル」の実現に向け、自動化とロボットの導入し人件費の削減と効率的な運営を考えました。グループの本体であるH.I.S.は旅行業ですが、ホテル業としての知見はありません。しかし、ロボットや最新技術の活用で人件費の削減と効率化向上により、ホテル運営上のメリットも多いと考えました」
 ロボットがサービスするという形態は、日本独自のものだという。もし、海外でロボットが受付するホテルを開業したら、人の仕事を奪うということで議論になることもあるとか。しかし、今、日本は少子高齢化。人材の確保など、今後の可能性を考慮し、先手を打ったという。このような考え方は、海外では珍しいため、日本でしかできないロボットによる接客を体験したいと、訪日外国人の関心は高い。

訪日外国人が喜ぶ、IoTを使ったおもてなしとは?

 開業したばかりの『変なホテル東京 赤坂』は、客室内タブレットサービス『Tabii(タビー)』を導入し、近未来のIoT体験が楽しめるエンターテインメント空間『スマートIoTルーム』を10階フロアで初めて展開する。『Tabii(タビー)』は、無料で利用できる客室設置型タブレットサービスであり、照明、空調、TV、アロマディフューザーなどあらゆる客室の機器を連結させ、統制・制御するIoTプラットフォームシステムを搭載。さらにGoogle Homeとも連携することで、音声による客室コントロールや館内情報などのコンテンツの案内も可能にしている。

 「IoT体験ができる部屋は、ぜひ宿泊していただきたいですね。タブレットで、朝食のレストランの混雑状況もリアルタイムに確認ができ、ホテル周辺のおすすめの飲食店や観光地なども無料で閲覧ができます。さらに受付のロボットはもちろん、宿泊者との会話をAIで学習し進化していくコンシェルジュロボット「unibo(ユニボ)」もいる。また、西葛西にある『変なホテル東京 西葛西』は、竹林が並ぶ和のデザインに、最新技術を導入させ、恐竜のロボットが受付接客を担当しています。ココは、訪日外国人だけでなくお子様連れのお客様が喜ぶホテルになっていますね。宿泊としての役割であるホテルにエンターテインメント性を取り入れることで、睡眠だけでなく滞在をより楽しんでいただけるようにしています」

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ホテルにとって自動翻訳機やAIなどのテクノロジーの使い道とは

 「自動翻訳機をホテルに設置するかは、今はまだ協議中です。あると便利なのは分かっていますが、『変なホテル』に導入するためには、使い方などををきちんと検証する必要があります。受付のロボットは、4カ国語を話せますしね。しかし、通常の人間がサービスするホテル業務なら、自動翻訳機があると便利だと思います。日本語が話せないお客様がいらしても、すぐに対応ができるため仕事のリズムも格段によくなります。日本は、さまざまな国からの旅行者が急増中です。英語だけではなく、ロシア語など多様な言語の自動翻訳機があれば、我々はすごく助かりますね。AIなどのテクノロジーの使い道については、"かけ算"ができることが魅力です。H.I.S.がロボットを活用するなんて10年前にはまったくなかった発想ですが、考え方を広く持ち、他業種とコラボレーションすれば、未来ではもっと面白い取り組みができると思いますね」

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 同ホテルでは、まずは客室内タブレットのサービスを安定させることに力を入れていくという。開業当初こそ、さまざまな問題なども起こるかもしれないが、宿泊者の口コミなどを集めて、スムーズに対応することで問題を解決し、サービスの向上を図っていく方針だ。このタブレットサービスについては、将来的に他の『変なホテル』への導入も検討しているという。
 ロボットによる接客というインパクトが抜群だが、決して話題先行ということでもなく、テクノロジーの強みを活かす『変なホテル』は、むしろ地道なIoT戦略の優等生といった印象もある。今後はさらなるサバイバル合戦が予想されるホテル業界にあって、その動向が大いに注目されるところだ。

文/コネクティプス編集部

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