はい。私は言葉には2種類あると思っています。例えば、今お話ししている言葉は、伝達の言葉。コミュニケーションと、情報を伝達するために使っていますよね。意味や情報を効率的に伝えることが目的です。そしてもう一つが、表現の言葉。これは音や響き、リズムなどが重視される言葉です。この表現の言葉が、伝達の言葉として受け取られたときに、「意味が繋がらない、分からない」という違和感を生むんじゃないかなと。
だからある人は、「こんなのポエムだ、意味がわからない!」って切り捨てて揶揄するし、ある人は、「私にはこの作品を理解する感性が乏しいんだ」と自分を責めてしまう。こんなふうに、読んだ人の心の様子やメンタルの状態が表れやすいのが表現の言葉なんです。「これは自分にとって大切な言葉だな」あるいは「今は読むのがしんどいな」など、ポジティブな反応であれネガティブな反応であれ、まずは素直に感じ取ってみてほしい。それが生きた人間として、表現の言葉と出会う醍醐味。詩は心のバロメーターにもなるんです。
すごく腑に落ちます。たくさんの言葉にこれだけ身近に触れられる今、俯瞰的な視点を持って言葉と一定の距離を取りながら付き合うべきなのかもしれないですね。一方でSNSのポジティブな面を見ると、ツイッターをきっかけにいろんなチャンスをもらった僕は、時代の恩恵を受けた側だとも思っています。というのも、文学にはたくさんの新人賞があって、プロの書き手としての道を進むにはすでに確立している王道のルートが存在しているにもかかわらず、WEBでの活動を通じて、どうにか書き下ろし小説を出せないかと考えていたので。
そうですよね。カツセさんのように、WEBを通じて掘り起こされてきたいい書き手もたくさんいる。編集者の目を通さないとデビューできなかった時代に比べて、随分フラットに本を出したり作品を発表したりできるようになったのは、良い点だと思います。
そう、機会は増えましたよね。先ほど、文月さんは身の回りで気になった言葉を日々収集されているとおっしゃってましたけど、WEBやSNSに載っている優れた言葉からインスパイアされることもあるんですか?
ありますね。エバーノートというメモアプリを使っていて、気になった記事や言葉を保存しています。今では保存記事が700件を超えてしまっていて、全部見返すのは無理だろうなとは思うんですけど(笑)。
そうなんですよね。普段は、考えを整理するために、紙とペンでメモを取るほうが多いのですが、やっぱりクラウドの良さとアナログの良さ、両方を生かしたいなと。
情報収集のほか、実際に執筆されるときにもPCは使います?
使いますね。仕事の場合、最終的にはデータで納品をするので、手書きとWordでの作業を組み合わせて執筆に取り組んでいます。
自宅はもちろん、喫茶店をハシゴして執筆することも多いので、PC本体の軽さは大事ですね。あとは、電源なしでも8時間以上は動いて欲しいな。
FMVの新モデル・CHは持ち歩きにも適した軽量モデルで、家にも外にも馴染むデザインを意識して作られたそうです。あと、スマホからBluetoothで音楽を転送してスピーカー代わりにも使えるらしいですよ。
それはいいですね! 執筆するとき、音楽の力に頼って書くことも多いんです。
歌詞がある曲もガンガン流してますよ。「この人の曲を聴くと書ける」という枠が自分の中にあって、「自動筆記用」という非公開のプレイリストをSpotifyで作っています(笑)。映画『誰も知らない』の主題歌を歌っているタテタカコさんなどが筆頭ですね。ソロのアーティストが多いかもしれません。
音数とか、要素がシンプルな曲が多いんですね。他に、PC選びで欠かせない条件はありますか?
長時間向かい合うことが多いので、キーボードの打ちやすさでしょうか。このCHはキーごとの間隔=ピッチが心地よい感じがしますね。これなら筆が進みそうです!