どんなに軽量で薄くても信頼性に問題があっては本末転倒。ビジネス・ユースとなれば信頼性はなおさら重要だ。「富士通のノートパソコンでは、独自の評価基準に基づき徹底した評価テストを行っています。これをパスできなければ、製品化されることはありません」と語るのは品質保証統括部モバイル保証技術部の福岡潤一である。それは、徹底した軽量化/薄型化が求められた「MGH series」といえども例外ではなかった。「世界的に見ても最高水準にある」と福岡が胸を張る厳しい評価テストをパスして初めて市場に出るというわけだ。
軽量化/薄型化でまず問題となるのが筐体の強度をいかに確保するかだ。軽量化しようと素材の肉厚を削っていけば本体強度は下がり、逆に本体強度を上げれば重くなってしまう。このジレンマを突破するために、開発陣がLCDバックカバーの素材として採用したのがマグネシウム合金だった。筐体開発にたずさわった大西によれば、「富士通では、ノートパソコンに5年前からマグネシウム合金を採用していますが、現在では、当時より厚さを半分近くまで薄くすることに成功しています」という。
とはいえ、一番薄いところでは0.5mm強というLCDバックカバーを製造することは簡単ではない。製造工程では、「薄すぎてマグネシウムが金型の中をうまく流れないため、仕方なく重量制限を5g緩和した」(三浦)というエピソードもあった。
ちなみに、このマグネシウム合金製のLCDバックカバーには、富士通独自の最新塗装技術も採用されている。特殊な液体につけるとマグネシウムと塗料が分離するので、再資源化が容易だ。
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