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開発者ストーリー
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Dixelのイメージ写真 美しい映像は、PCが創り出す。ハイブリッド高画質化テクノロジーDixel(ディクセル)搭載。

Dixel(ディクセル)テクノロジーの搭載で、32型ワイド液晶ディスプレイ一体型FMV-DESKPOWER TXシリーズから、モバイルノートFMV-BIBLO LOOX Tシリーズまで、幅広いラインナップでテレビと肩を並べる高画質化を実現したFMV。ハイエンドの機種では、デジタル放送の著作権保護規定をクリアし、パソコンとして日本で初めて注1ハイビジョン映像を劣化させることなく、ハイビジョン画質のまま録画/再生する機能を搭載しました。今回の「FMV 開発者ストーリー」では、FMVに搭載されているハイブリッド高画質化テクノロジーDixel(ディクセル)の開発に関わった方々を代表して3名が熱い想いを語ります。

藤田 康夫の写真 廣末 庸治の写真 牛若 恵一の写真

パーソナルマーケティング統括部
コンシューマPCグループ

マーケティング部門として、デスクトップパソコンの商品企画を担当。

パーソナルシステム事業部
第四技術部 プロジェクト課長

高画質化テクノロジーDixel(ディクセル)開発のとりまとめを担当する。以前から、液晶モニター(テレビ内蔵を含む)、テレビチューナーボード、テレビ用ソフトウェアなどの開発一筋の技術屋。

パーソナルシステム事業部
第四技術部 プロジェクト課長

新規のデジタル・ハイビジョン・テレビチューナーの開発全体をとりまとめる。

Dixel(ディクセル)フィルターの効果をわかりやすくしたイメージ写真
01 ついに到達した32型ワイドの高画質

藤田:

「大画面の液晶テレビやプラズマテレビが急速に普及してきました。パソコンでも大画面液晶が欲しいというお客様のニーズにお応えするために、今回、32型ワイドの大画面を持つ機種をラインナップに加えることにしました。これは開発部にとっても刺激的だったと思いますよ(笑)。」

廣末:

「話を聞いたとき、えっ、ホントに32型をやるの? と思いましたね(笑)。なぜなら、画質に求められるレベルが、今までの15型、17型とは比べ物にならないですから。『32型ワイドの大画面に耐えられる高画質』は高いハードルでした。これをクリアすべく画質には相当こだわりました。」

 
02 ライバルは液晶テレビ。「画(え)作り」が鍵を握る

藤田:

「私たちは、何年間も、家電の液晶テレビにも負けないような画質をFMVで実現することを目指してきました。FMVでテレビを見ていただくからには、とにかく綺麗な画質で見ていただきたいと思い続けてきたのです。今回の製品は、かなりの自信作です。」

廣末:

「綺麗な画質、高画質というのは、単に忠実な再現性、正確な色を出すというだけではダメなんですね。真っ青な海を見て『ああ美しいな!』と思ったとき、その海の色は鮮烈な青として記憶される。これが『記憶色』と呼ばれるものの一例です。しかし、それは得てして実際の正確な色とは異なっています。そのため、ディスプレイに映し出された海を見て『ああ美しいな!』と思っていただくためには、個々のお客様の理想の海の色にいかに近づけるかが大切になってきます。これを『画(え)作り』と言いますが、私たちの取り組み方は、かなりまじめだと思いますよ(笑)。まずノイズの低減など基本的な部分を高品質にし、そのうえで、日常的なシチュエーションでいつも美しく感じてもらえる画作りを追求してきました。本当に満足して使っていただきたい、私たち富士通の開発者はみんなそう思っています。」

廣末:

「パソコンの世界での画質の定義は、『入力データへの忠実性』に主眼が置かれていて、これは数値の世界でとても論理的。でもそこを追求しても、リビングのテレビと比較できるような美しさは感じられない。テレビらしい映像表現には、液晶などのスペックもさることながら、いかに好ましい画像表現にするかという『画作り』への取り組みが不可欠です。でもこの切り口での良し悪しというのは、見る側の主観も伴うので論理的に解釈しにくい、まだまだパソコンには経験の浅い分野です。」

藤田:

「でもこうした画作りについても、様々なチャレンジを積み重ねて、より多くのお客様に『美しい』と思っていただける画質を追求していきたいと考えています。そしてせっかくパソコンなのだから、パソコンであることを活かして家電製品とは違ったアプローチをしたい。最終的にはリビングに置くような液晶テレビの画質と比較していただいてもFMVを選んでいただけると嬉しい、そう思っています。」

廣末:

「パソコンは、映像の入口であるチューナーから、録画をするキャプチャー回路、そして映像の出口であるディスプレイまで、すべての処理工程を1台の中で行っています。これは、液晶テレビとDVDレコーダーなどの単品を組み合わせる家電と比べて『画作り』にとって有利な点です。個々の回路を高画質化することに加えて、映像の入口から出口までトータルでの画質を追求することができますから。」

藤田 康夫の写真
廣末 庸治の写真
03 チューナーからディスプレイまで、こだわり抜いたDixel(ディクセル)テクノロジー

廣末:

「これらの目標を実現するために、さまざまな高画質化技術を開発しました。それらの総称が『Dixel(ディクセル)』です。まず、映像の入口から出口までの、それぞれの処理部分での個別の高画質化技術というものがあります。例えば、アナログ・テレビチューナーボード上のLSIを高画質処理が可能なものにし、さらにその性能を最大限に引き出すチューニングをする、などですね。」

ハイブリッド高画質化テクノロジーDixel(ディクセル)の説明イラスト

牛若:

「それから、アナログ映像を一度デジタルに変換したら、最後までずっとデジタルのままで処理をする回路設計もそうですね。『フルデジタル』などという言い方をしますが、途中でアナログには戻さない。戻すと画質が劣化しますから。デジタル放送の場合は映像がデジタルで入ってきますから、完全にフルデジタルで処理をするわけですね。」

廣末:

「Dixel(ディクセル)の技術開発で重要視したのは、映像の入口から出口までの処理を組み合わせた結果として美しく見せる技術ですね。トータルで高画質にするためには、受信、録画、表示など個々にいいものを使うわけですが、それらの個々が良いだけではダメです。他の高画質化の要素とどう組み合わせるかを意識して調整することが大変重要です。例えば、画作りに関しては、録画と表示とでは考え方が異なるんですね。録画は、原画に忠実に基礎的部分の画質を高めて『記録』に徹する。具体的にはノイズを排除するとか、画像のブレを修正するなどが主な処理です。一方、表示は、LCD表示回路部分などを使って、記憶色に配慮した画作りで美しく感じる演出をする。空や海の色をより鮮やかな青で見せる、水のきらめきや金属の光沢感などを増してより鮮鋭感を持って見せる、といったことですね。役割をはっきりと分割するわけです。録画の領域で変に演出をしてしまうと、他のディスプレイに出力する場合に、ディスプレイの演出と重なって演出が過剰になる危険性があります。Dixel(ディクセル)テクノロジーは、このような考え方に基づいて、それぞれの回路でふさわしい処理をしつつ、トータルで美しく見せることにこだわっています。」

アナログ・テレビチューナー(高画質ハードウェア・エンコード)
04 トータルでの高画質化を支える、徹底的なチューニング

藤田:

「トータルで美しく見ていただくときに重要なのが、個々の処理回路やソフトウェアのチューニングなんですね。」

廣末:

「そう。アナログ映像の入口はチューナーボードですが、ここに搭載された部品、例えばこのLSI、これで10bitA/Dコンバーターや3次元Y/C分離処理を行なっていますが、ここの調整パラメータの画質の設定が決まらないと、後段で液晶パネルの制御や記憶色処理などの画作りを行っている表示回路のLSIでの画像設定ができない。出口側の回路は、入口側からやってくる映像の特性に合わせてチューニングする必要があるからです。部分最適ではなく、全体最適を考えるということです。」

藤田:

「2画面表示機能と言って、テレビ画面のウィンドウを同時に2つ表示できる機種があるのですが、2つのウィンドウに表示されている映像が、色のトーンなどが違ってバラバラな画作りだったらお客様は満足できないですよね。だから、そろえなきゃいけない。でも、一方はハードディスクに録画した番組を再生していて、一方は放送中の番組をそのままストレートに表示しているだけかもしれない。つまり、映像が流れてくる回路が異っていても、お客様が見るときには同じように見えないといけないわけです。」

廣末:

「そうですね。このようなチューニングが一番苦労したところですね。加えて、FMVのラインナップの多様さ。それぞれ部品も回路も異なるさまざまな機種で全体最適を実現するのは本当に大変でした。例えば『ここの設定変えます』とある人が言うと、その後ろの工程で影響を受ける開発者が暗い顔になる。開発者も人の子ですからね(笑)。こういう状況で開発をスムーズに進めるには、開発者間のコミュニケーションがとても重要になります。数年前の組織の体制は、機種や開発対象ごとに開発担当部署が分かれていたのですが、映像に関わる部門をどんどん統合して、映像の入口担当と出口担当が互いに振り向けばそこにいる、というような環境を作ってきたんです。部分部分の担当者だったのが、顔が見えることでそれぞれのことを考えるようになってきた。これが良かったと思いますね。」

高画質LCD表示回路
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注1:パソコン本体のみでデジタル放送をHD解像度(ハイビジョン)のまま録画・再生を実現している製品として日本国内初(2005年3月現在当社調べ)。
※デジタル放送に対応しているモデルは、FMV-DESKPOWER TX90L/D、LX90L/Dのみ。フルデジタル処理に対応しているモデルは2005夏、FMV-DESKPOWERシリーズのみ。その他のテレビモデルでは対応しておりません。

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