触れる面から、意識していなかった自分の輪郭が見えてくるっていうことですか?
そうですそうです! それをやると、若い大学生たちも家にあるゴミ袋と真剣に戯れたりしていて、すごく面白いんですよ。
お話を聞いていると、自分の身体との向き合い方とか身体と外との境界意識が僕とは随分違うなと思っていて。僕、普段は風呂場で「身体洗ったっけ?」くらいの感覚なので(笑)。
普段はそんなに繊細ではないんですが、モードに入ると意識しますね。例えば、映像の編集作業は、何度も何度も同じ人の動きを見て、音を聴いて進めていくので、感覚が鋭敏になってくるんですよね。映像をやって身体感覚が鍛えられたなとも思います。
ダンスをするよりも、映像に向き合う方が、身体感覚が磨かれると。
だって映像だと、ズームしたりマクロレンズを使ったりして、人間が見えないくらい細かく見られたりするじゃないですか。人間にない身体感覚を手に入れられるので。
なるほど。となると、それこそスマートフォンとかタブレット、PCみたいなデバイスは身体拡張のツールになっているということですか?
そう思いますし、デバイスによって身体の感覚も変えていると思います。普通、デバイスはあくまでも生活を便利にするために一方的に使っているものだと思うかもしれないですが、食べ物と同じくらい、自分の身体にも直接的に作用するものなんじゃないかな。
映像編集などでPCを使うことも多いと思いますが、こうあったらいいなと思っていることはありますか?
軽さは本当に大事ですね。映像の編集はデスクトップタイプを選ぶんですけど、言葉を書いたりラフアイデアを考える時は外で風とか光を感じながら作業ができた方が捗ったりして。たまに近所の根津神社や上野公園で身体を動かしたり、PCを開いたりもします。だから、持ち運ぶ時にストレスを感じないかどうかも重要ですね。