三笠 |
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「私たち2人はどちらかというと、開発プロジェクト全体の流れを管理するような立場にあるんですが、開発者全員に徹底したのは、ともかく『パソコンメーカーのアタマで考えるのはやめよう!』ということ。Tシリーズの開発において目指したのは、機能盛り沢山の高性能パソコンじゃなく、映像や音楽で生活にエンターテインメントを提供するものを作ることでした。そのために何が必要かと考えると、やっぱり根本的なアタマの切り替え。お客様がパソコンに対してではなく、テレビやDVDレコーダーに求めているものは何か、それを柔軟なアタマで考えなきゃいけない、という強い意識を、開発者同士が共有することが重要だったんです。うーん、ある意味『パソコンでありながら、パソコンでないもの』を作りたかった、ともいえますね。」 |
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中礒 |
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「自分自身も、家電、特に液晶テレビはずいぶん研究しましたね。デザインや使い勝手はもちろん、梱包のような細かいところまで。お店で液晶テレビの箱を探して、『あぁ、取っ手はこの位置に1組だけ付けて、1人でも持てるようにしてあるのか、これはパソコンメーカーにはわからないなあ』なんて感心させられたこともありました。」 |
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三笠 |
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「一方、私たちの仕事のひとつに、いわゆる技術的なトレンドウォッチというのがあるんです。2003年の時点で業界の流れを調査したところ、大型液晶のパネルがぐっと普及し、部材も入手しやすくなってきていた。そこで、コレを使わない手はないぞ、と。じゃあ大画面にして、テレビや映画を楽しむのがメインのパソコンにしたらどうだろう、だったらもうデスクの前でではなく、テレビみたいに離れて見たほうが楽しめるんじゃないか、と発想が進んで。結果、22型ワイド液晶の採用となったわけです。シリーズの名称も、当初は『17型ワイド液晶一体型のLシリーズより大きいから、XLシリーズにするか』なんて冗談もあったんですけど。結局、テレビ(Television)やシアター(Theater)をイメージした『Tシリーズ』に落ち着きましたね。」 |
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中礒 |
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「ともかく、楽しめるものを作りたかった。テレビやDVDを見て楽しい、ビデオを録っても楽しい、撮った映像やデジタルカメラ写真を保存し、それを再生してもまた楽しい、これに徹底してこだわりました。『見る、録る、残す』は、こういった開発コンセプトをきわめて端的に、歯切れよく表しているキャッチフレーズですね。」 |
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三笠 |
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「開発の参考とするために、様々な液晶テレビ、DVDレコーダー、パソコンなどを毎日とことん使ってみる、というのも私たちの仕事ですが、それで何を判断しているかというと、とにかく『使っていて楽しいかどうか』の1点のみ。自分たちが楽しめないものは、お客様も楽しいはずが無いじゃないですか。楽しいということは何なのか、を探しに会社に来ているなんて、贅沢だと言われそうな気もしますけど。」 |
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