私を見守るらくらくホン
私は全盲のために、外出をするときには常に母が側にいた。一昨年、杖代わりの母が亡くなった。昨年、東京の知人が大正琴の演奏会をするからとのことでご案内をいただいた。幸い、東京には「お母さん」と親しく呼ばせていただいている女性がいる。そこで、私は思いきって東京への一人旅を計画した。生まれて初めての一人旅である。飛行機で東京まで行き、そこからガイドボランティアに移動介助のお願いをした。全盲で初めての旅は、私の心に不安をかきたてた。だが、旅立つ前日にガイドをしてくださるボランティアの方から電話がかかってきて、ホッと胸を撫で下ろした。東京へ着いてからも、メル友から無事に着いたかとのメールが入ってきた。私は早速、音声が出る携帯で返信をした。携帯は、私を取り巻く人たちとの心の交流の架け橋となってくれている。そして、私に常に「見守ってくれている」という、安心感を与えてくれている。
さくらさん 50代