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電子手帳だけではフォローできない!訪日外国人が戸惑う日本語と"察し"の文化

仕事や勉強など、さまざまな目的で来日し、それぞれのフィールドで活躍している在日外国人。彼らにとって、日本語の習得は必須事項であると同時に、もっとも困難な課題のひとつでもある。それでは彼らは、どのようにして日本語を身につけ、円滑なコミュニケーションが取れるようになったのだろうか?人気コスプレイヤーであり、タレント、モデル、女優としても活躍するイタリア人女性・ユリコタイガーさんに、日本語習得に至るまでの経緯をうかがった。

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――日本に在住するようになって何年目ですか?

ユリコ 今年の7月で5年目になります。

――日本語を習得されるまでの経緯を教えてください。

ユリコ もともと独学で勉強していたので、簡単な会話コミュニケーションや、平仮名、カタカナの読み書きくらいは、イタリアにいた頃からできていました。でも、実際に日本に来てみると、ぜんぜんコミュニケーションが取れなくて。最初の1年間は日本語学校に通い、1から勉強し直しました。

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――日本語学校で勉強したことで、話せるようになったと?

ユリコ そうですね。ただ、中級レベルまで進んだ頃から、仕事のほうも忙しくなってきて...。学校との両立が難しくなってしまったので、そこからは打ち合わせや、現場でのやり取りなど、日本でないとコミュニケーションが取れない環境に自分からどんどん入っていって、実践を通して日本語でのコミュニケーションを覚えていきました。

――まさに"実践に勝る勉強なし"というわけですね。ところで、まだ日本語に不慣れだった頃、言葉が通じなくて苦労したことはありますか?

ユリコ いっぱいあります。出かけるときは、字も読めないし、人にも聞けないので、いつまで経っても目的地にたどり着けない...ということがよくありました。それと、私はコスプレイヤーとしても活動しているので、来日したばかりの頃は衣装作りにも苦労しました。素材を買ってきて作るにせよ、発注して作ってもらうにせよ、日本語ではうまく自分の考えを伝えられないので、なかなか思い通りの衣装を用意できなくて。結局その頃は、イタリアの業者に連絡して、オーダーメイドで作ってもらっていました。

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――コスプレイベントに参加した際も、苦労したエピソードはありますか?

ユリコ これは、日本特有の文化だと思うのですが、日本の方って、皆さんものすごく気を遣われますよね。嫌なことでも「NO!」とは言わず、「それはちょっと...」みたいな、曖昧な返事をされるので、「本当はどう思っているの?」と悩むことが多かったです。
あと、海外では感情表現がもっとストレートといいますか。笑ったり、怒ったり、相手が今どんな気持ちでいるのかは、見ているだけで理解できるんですけど、日本の方は感情が読み取りづらくて...。コスプレ衣装のことを言葉ではすごく褒めてくださったんですけど、一方で表情や身振り手振りは怒っているように見えて、どう反応していいのか分からない...ということもありました。

――確かに。感情も読み取りながら会話する...というのは、なかなか難しい作業ですよね。ユリコさんのお友だち(在日外国人)も、ユリコさんと同じくらい、日本語はしゃべれるのですか?

ユリコ 日本語の読み書きや文法は分かっても、しゃべるのは苦手...という人が多いですね。皆、プライベートでは、外国人同士のコミュニティーで過ごすことが多いので、仕事などで必要なとき以外は、あまり日本語を使わないんですよ。

――貴重なご意見ありがとうございます。ちなみにですが、もし、日本語をうまく話せなかった頃、便利な翻訳機などがあれば使っていましたか?

ユリコ 欲しかったですね。あればたぶん、ものすごく重宝していたと思います。当時は電子手帳を持ち歩いて、分からない単語があればその場で調べるようにしていたのですが、使用時は会話を中断しなければならないので、あまり頻繁には使えなくて...。
今は、音声翻訳のスマートフォンアプリを活用していますが、それに頼ってばかりいると、いつまで経っても難しい言葉を覚えられないですし、相手の顔を見ながらのコミュニケーションもスムーズにいかないので、まずは自分で勉強して、どうしてもわからないときだけ使うように心がけています。

――翻訳機に頼りきるのではなく、あくまでも自分自身で勉強する姿勢が大事...というわけですね。

ユリコ そうですね。とはいえ、日本語に不慣れな外国人の場合、まずは日本語でしゃべる環境に飛び込み、積極的にコミュニケーションを取ることが大切なので、そのためのツールとして翻訳機を活用する...というのはアリだと思います。

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訪日外国人や留学生にとって、翻訳機など便利なツールが進化することはメリットになるが、本当の意味でコミュニケーションを取るには、より実際の会話の現場で、その国の文化に根差した特有の言葉の意図をくみ取るコミュニケーション経験が必要不可欠。言語の裏の文化を理解する一助となるIoTの存在が今後より一層求められるようになるだろう。

文/Japan Walker編集部

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