講演やイベントで「クアデルノ」を台本として活用
「使ってすぐにここまで手放せないものになるとは、自分でも驚いています」
そう語るのは、昨年12月の発売と同時に「クアデルノ」を使い始めた文具ソムリエールの菅 未里さん。いまではすっかり日々の仕事に欠かせないツールになっているという。
「国内の様々な場所で講演会やトークイベントに出演し、文具のトレンドなどについてお話させていただくことが多いのですが、そのたびにパワーポイントで作ったスライドを紙に印刷して“台本”を作成していたんです。それがあるとき、プリンターが突然壊れてしまって……。そういえば!と思ってスライドを『クアデルノ』に取り込んでみたんです」
時間がないなかでひらめいた苦肉の策は、いざ使ってみるといままでのやり方とは比べものにならないほど快適だった。
「『クアデルノ』なら簡単にメモを書き足したり消したりできるし、過去に作った台本への書き込みを一部分だけコピペすることもできるので重宝しています。あと、大量の紙を持ち歩かなくてよくなったのもうれしいですね。荷物の量がグンと減りました」
トークイベントの台本として、話す内容をメモ
↑1画面に複数ページを表示するには、パワーポイントの「印刷機能」画面で、「設定」内の「フルページサイズのスライド」をクリックし、「配布資料」項目のなかから、1ページに表示したい枚数を選べばOK。自動でPDF化される
↑トークイベントで観客に質問を投げかけ挙手を促す場所には、手のイラストを描くのが菅さん流。質問を投げかけるタイミングを変えたいと思った場合は、コピー&ペースト機能で、手のマークを移動させるという
原稿の確認作業でもプリンターが不要に!
もうひとつ、菅さんが「クアデルノ」を活用することで大幅に効率化できたのが、書籍や連載原稿の確認作業だ。「クアデルノ」を使えば、ステップは至ってシンプル。送られてきたPDFを「クアデルノ」に取り込み、付属のペンで赤字を入れ、それをそのままメールに添付するだけ。
プリンターやスキャナーはもちろん、赤ペンすら用意する必要がない。さらに、スペースが狭く書き込みにくい場合でも、画面を拡大して書き込めるのも使いやすいポイント。これは電子ツールならではのメリットだ。
「書き味の良さも気に入っています。紙にペンで書くときに似た適度な筆記抵抗があるから、意図した通りに書けるんですよね。いくら手間が省けたとしても、文字をきれいに書けなかったり、書き心地に違和感があったりして、仕事への集中力を削ぐものはやっぱり使いたいとは思わないので。アナログとデジタル、それぞれの良さを兼ね備えているところが、いちばんの魅力だと思います」
原稿の確認も「クアデルノ」だけで完結
↑原稿の確認作業は、送られてきたデータを「クアデルノ」に取り込み、赤ペンを選んで手書きで修正指示を書き込む。クアデルノなら紙の束を持ち歩かなくていいため、出張先や移動中でも気軽に確認できる
↑書き込んだPDFデータをパソコンに取り込むと、保存されたデータでは、手書きの筆跡が赤色になっている。そのまま相手に、文字通り「赤字」として送れるので、原稿のチェック作業にはピッタリだ。ペンの色は「青/赤」「黒/赤」の2通りから選べる
また、打ち合わせ相手にノートパソコンやスマホで資料を提示する際に感じていたちょっとしたストレスも、解消されたという。
「パソコンやスマホの画面って、できればあまり人には見せたくないじゃないですか。画面の汚れが気になるし、例えばタイミング悪くプライベートのメールやSNSのポップアップ通知が表示されてしまって、慌てて消すなんてことも。『クアデルノ』は半光沢処理のディスプレイなので指紋や油汚れが目立たないし、通信機能を備えていないから余計な情報を見られる心配もありません。ときどき『ネットにつながらなくて不便じゃないの?』って聞かれることがあるんですが、むしろそのほうが便利だと感じる場面が意外と多いんですよね」
かん・みさと
大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職し、ステーショナリー担当となる。現在は文具ソムリエールとして、文具イベントへの登壇、商品企画、コラム執筆などの活動を行う。著書に「私の好きな 文房具の秘密」(エイ出版)など。