廣末 |
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「Tシリーズは『テレビとして楽しめるパソコン』というコンセプトですから、映像関連の開発を担当する私たちにとっては、思い入れの強い製品なんです。中でも一番こだわったのは、やっぱりテレビとしての映像のキレの良さですね。技術的に言えば、残像の除去ということになります。たとえば通常の液晶テレビでは、サッカーや野球のような動きの速いシーンで、ボールの動きが筋状の残像になって、気持ちの悪い感じがする、といったことがあります。これが液晶の最大の弱点です。Tシリーズは、最新の液晶テレビに負けないことが最大の目標でしたから、先端の残像改善技術を複数駆使することで、キレの良いスパッとした映像を実現しました。」
「詳しくお話しすると、まずは応答速度の短縮。映像は、連続的な静止画(コマ)から成り立っていますが、この1コマ1コマを描き替える速度に対して液晶の応答速度が遅いと、直前のコマの画像が、残像として次のコマに残ってしまいます。これを防ぐには、液晶の応答速度が映像1コマの時間内であることが必要であり、テレビ信号の場合はそれが『16.7ms以内』となるんですが、Tシリーズではこの数値を満たすために、アクティブ高速応答という技術を採用しました。この効果で、物理的な残像をかなり低減できています。」(※1msは1000分の1秒) |
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佐々木 |
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「しかし、それ以外の要因として、人間の目の錯覚が作り出す残像というのがあるんです。つまり、1つ前のコマの映像が、目の中に残ってしまうんですね。Tシリーズではその錯覚を解消するために、次のコマの映像を完全に描画し終わるまで、液晶のバックライトを消しておくことにより、前のコマの残像を見せないようにする、という方式を取っています。これにより、ブラウン管に近い映像を実現することに成功しました。この技術を製品化したのは、実はこのTシリーズが業界初なんですよ。」 |
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「これらの残像処理にさらに加えて、色のにじみを取り除く処理、動きを滑らかに見せる処理なども行なっています。また、テレビは家族一緒でご覧になることも多いですよね。それを考慮して、Tシリーズは液晶の視野角を従来よりも広げてあります。ですから視線の高さが違う家族が横に並んで見ても、皆さんで美しい映像を楽しんでいただけるんです。」 |
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廣末 |
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「これらの技術以外にも、テレビを高画質で見せるための様々な工夫をしています。画面の美しさ・見やすさというのはとてもアナログな世界でして、スペックに現れる数値だけでなく、映像の細かなチューニング(調整)による影響が非常に大きい。最終的には人の目、主観で判断するものですからね。最終的な画質の調整には、技術的な面だけでなく、経験や『絵心』みたいなものが重要です。うちの開発チームは家庭用テレビの開発経験者などもいて、この辺には非常にうるさいんですよ。だから開発の最後には、雪山の風景やアイドルのDVDなどを使い、皆で何時間も画面とにらめっこをして、満足のいく映像に仕上がったかどうか入念にチェックしました。今考えてみると、いい歳をした連中が実験室に並んで、深夜まで真剣にアイドルの映像を見ていたりして、傍から見ると少しアヤシイ光景だったかもしれませんね。」 |
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