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この3人の中では私が最後に席に付いたのだが、私の向かいのモバイラー氏は一瞬「こ、このマシンは?」 という目で、私の取り出したINTERTOPを見ていた。 ご存知のように現在のINTERTOPは液晶の裏側、すなわち「ふた」の部分にロゴが入っている。 INTERTOPという名前はしっかりと記憶されたに違いない。 ふふふ、買い替えの際はINTERTOPをよろしくねと、私は心の中でほくそえんだ。 今はもう7時20分で、私は8時の飛行機に乗ることになっている。 そろそろここを出た方が良いのだが、他の2人がモバイル中なのでうかつに席を立つことができない。 よく西部劇なんかで、凄腕のガンマン達が「互いの実力があまりにも拮抗しているため身動きが取れなくなり」何時間も拳銃を構えて身を隠しているような感じである。 何を馬鹿なことを言っているんですか? と言われてもしかたがないのだが... 別に席を立ったからといって、私が負けるわけではないのだが、なんだか悔しいではないか。 「空港ではぎりぎりまで仕事をしてこそ真のモバイラーではないか」 という哲学があるわけではないが、私はぎりぎりまで仕事をする派なので、最後までねばった者がこの場の勝者であるような気になってしまったのである。 どのみち、この原稿をあげるまでは飛行機にも乗れやしないので、私はこの場の雰囲気を実況中継しながらぎりぎりまでねばらざるを得ないのである。 こういった場合、「オタクはどんなマシンをお使いですか?」といった会話が発展する可能性はまずない。 幼稚園の送迎バスを待つおかーさん達のように、すぐに会話が始まるわけではないのである。 じっと互いのキー入力の音を聞きつつ、おのれのモバイルに邁進するだけなのだ。 これはこれで、ちょっと残念だったりすることではある。 私はこれでもINTERTOP WORLDの編集作業に携わっている身なので、他社ユーザであったとしても、いろいろなモバイラーの意見が聞きたいところではあるのだが。 ちなみに私の正面のお二方は、いずれも携帯電話接続でモバイル中のようである。 7時40分になったのに、誰も動く気配がない。 もちろんみんなが札幌行きの飛行機に搭乗するわけではないので、私より遅い便に乗る人もいるだろう。 うぅーむ、このまま行くと最初に席を立つのは私のようである。 残念だ。 私は身支度を整えて、ラウンジを出ることにした。 改めて後ろを振り向くと、私のすぐ後ろの一角でも小型のノートパソコンを使っている人がいるではないか。 そのモバイラー氏は、両脇の女性となごやかに話をしている。 「これでメールが送れるんだよ」 「えぇー、すごぉーい」 「私のアドレスにも送ってみてよぉ」 ひじょーに、楽しそうである。 もしかしたら。 本日の羽田空港ラウンジモバイルバトルは、この人が勝者だったのではないだろうか? そのモバイラー氏を横目で見ながら、私は足早に飛行機へと向かったのであった。 教訓:モバイルは仕事のためにだけ使うものではない! |
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