私のプレゼンは以下のようなステップで展開される予定だ。 1.インターネットは楽しい 2.INTERTOPでこんな簡単にインターネットアクセスができる 3.でもINTERTOPは普段私が持ち歩いている 4.ゆえにパソコンが必要である 我ながら、3から4にいたるステップに大きな無理があると思ったが、いたしかたない。 ただ、最近は妻の友人でもメールアドレスを持つ人が増えているので、そこを攻めるのもポイントであろう。 どちらにしても、このプレゼンのカギは1つ! 「パソコンが欲しい」と私が言ってはダメなのだ。 私の妻に「パソコンって面白そう」と言わせなければならないのである。 プレゼン決行日、私はチャンスを伺っていた。 時刻は夕食後のひと時である。 しかし、まだこの時間は子供が起きているのだ。 今うちの子は2歳半、家庭電化製品最大の脅威として、猛威を振るっている年頃だ。 小さな子供と一緒に暮らした経験がない方にとっては今ひとつピンとこないかもしれないが、想像もつかないようなことをするのがこの年頃の子供なのだ。 子供の目の前で「いかにも興味を引きそうな物体=INTERTOP」を取り出すのは危険である。 私は引き続きチャンスを伺うことに。 妻は夕食の後片付けを済ませて、テレビを見ている。 タイミング的には今が良いのだが、今日に限って子供が寝ないのである。 ひとまず子供の疲れを誘うため、お絵かき、積み木といった定番コースを2セットほどこなして、体力を消耗させることに。 しかしこれが裏目に出て、かえって子供のテンションが高くなってしまった。 最後の手段として絵本を読んで、強制的に睡眠体制へ持って行く。 10数冊の絵本を読み終わるころに、やっと眠りについた。 しかしこの時点でもう時刻は10時近くなっている、急がねば。 私はつとめてさりげなくINTERTOPを取り出し、メールの送受信を行うことに。 PHSをつなげて、妻の友人にメールでも送ってみる。 そして、ついでにネットサーフィンでもやってみる。 という展開で興味を引かせるのが私の計画だ。 しかし、受信メールに大きな添付データがついているらしく、いつまでたってもメールのダウンロードが終わらないのだ。 妻はポテトチップをつまみながら、ふとINTERTOPに目をとめた。 「ねぇ、何やってるの?」 「いや、メールを取ってるんだけど...」 「もしかしてこれから仕事するの?ぱりぱり」 「い、いや仕事はしないけど」 「ふぅーん、邪魔になりそうだったら、本でも読んでるけど、ぽりぽり」 「い、いやぜーんぜん邪魔じゃないよ、まぁそこに座って」 INTERTOPは依然としてメールをダウンしている。 いったいこのメールの添付データは何KBあるのだろうか! その時、妻の視線がテレビにくぎ付けになった。 「ねぇ、あれTさんじゃない?」 「え?」 「ほら、後ろで楽器弾いている人」 Tというのは私の友人なのだが、いわゆるスタジオミュージシャンである。 テレビでやっているのはどうやら歌番組のようだが、そこに出演している某ミュージシャンの後ろで、そのTがベースを弾いているのだ。 「本当だ!Tだ」 「すごぉーい、Tさん頑張ってるんだねぇ、コンサート観に行きたいなぁ」 「そうだよなぁ」 「ねぇ、INTERTOPって、インターネット見れるんだよねぇ」 「うん」 「コンサートツアーのスケジュールなんて、探せるの?」 来た、プレゼン開始だ! |
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