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キーボードを科学する。(2/6)


キーボードの生い立ちと特徴

モノが生まれるには理由がある。また、それが世に出たころの時代背景も見逃せない。
それぞれのキーボードの特徴を知るために、生い立ちを見てみよう。

●JISキーボード
SJISKB JISキーボードの起源は、QWERTY(クワーティ)配列と呼ばれている英文タイプライターに、既存のカナタイプライタの文字配列を組み込んだもの(1964年、JIS B 9509として制定)。これが、1972年にJIS配列(JIS C 6233)として制定され、現在に至っている。
特徴としては、63文字--あ〜ん行、拗・促音(ぁぃぅぇぉゃゅょっ)、濁音・半濁音・記号(゛/°)、句読点、長音記号、ピリオド、かぎかっこ2つ--が、4段48キーに配列されていること。1キー1文字を基本としているので4段に配列せざるをえないのだが、最上段のキーはかなり打ちづらい。また、指がホームポジションから離れてしまうので、タッチタイピングも至難の技だ。
濁音・半濁音の入力は、【は】【゛】というように、2ストローク必要。さらに、句読点やかっこ記号「 」『 』も2ストローク(小指でシフトキーを押してから入力)。数字を入力する際、英数モードに切り替えなければならないのも難点だ。
このような配列になったのは、制定当時は、日本語の「かな入力」が重視されていなかったからだ。その頃、キーボード入力といえば、コンピュータへのデータ(英数字)入力がメインという時代背景があった。

●新JISキーボード
JISKB 1980年代になって、次々と日本語ワープロが誕生し、日本語のキーボード入力が当たり前になったのを受け、JISキーボードの見直しが始まる。1986年には、新JISキーボードという新しいJIS規格が制定された。
新JISキーボードでは、1キーに2つのかなを割り当て、3段32キーに配列。2つのかなは、(使いにくい)小指でシフトキーを押して打ち分ける。また、同時打鍵ではなく、シフトキーを押してから、かなキーを押す「逐次シフト方式」を採用。したがって、配列が3段になったことはいいが、打鍵数はかえって増えてしまった。
また、このキーボードはJIS規格でありながら、現在、採用しているメーカはほとんどないことをつけ加えておきたい。


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