74歳になる母は、らくらくホンを息子に贈られてから、44キロの愛犬ラブラドールの散歩にも必ず持って行く。散歩から帰る頃、母の携帯に電話をすると、愛犬ポピーは、着メロを聞いてもう帰る時間だと分かるのか、あきらめて家路に向かうようになるとか。私が散歩に連れて行くと、犬や人が大好きなポピーは、なかなか帰ろうとしない。そんな時でも、携帯の着メロのいつものメロディが鳴ると足を止め、後ろを振り向いて座り、私が電話をとるのをじっと待っている。母からの帰れコールだと分かると、それはもううれしそうに体中で喜びを表し、しっぽを振り振りタッタッタッと、小走りで家路に向かうようになる。またノロノロ歩きになってくると、今度は、留守録に残している母の声を、大きな耳に当てて聞かせながら早歩きにさせ、急いで帰らせる。

細谷 智代さん 40代

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