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富士通

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FMWORLD[個人]

デジタル時代の写真論

トライも失敗も、好きなだけ
できるのがデジタルの魅力

写真家(日本広告写真家協会会員)

前野 宏幸 / Hiroyuki Maeno

三重県生まれ。(社)日本広告写真家協会会員。東京綜合写真専門学校芸術科卒。写真家、杵島隆、大橋勲、田村正衛各氏に師事。PR会社勤務を経てフリーの写真家として歌舞伎や日本の伝統芸能などを撮影。そのほかに富士山、日光、花などの作品を撮り続けている。

▲前野さんの作品。幻想的な光の中で富士山を撮影。

師匠のすすめで
歌舞伎の撮影をスタート

アシスタント時代を含めると、写真家としてのキャリアはかなり長いですね。元々はアマチュア時代に三重県志摩市で400年以上続く人形浄瑠璃「安乗(あのり)人形芝居」の撮影をしたことが、私の本格的な写真生活のスタートです。それからPR会社に入って、広告写真などを撮っていましたが、師事した写真家の杵島隆(きじま・たかし)先生のすすめもあって、同じく伝統芸能である歌舞伎の撮影をするようになりました。

最初に撮ったのは四代目 尾上松緑(おのえ・しょうろく)さんです。いまでもよく覚えています。歌舞伎の舞台写真は、300ミリ以上の望遠レンズをつけて観客席の最後方から撮るのですが、防音ケースもつけているので、これがなかなか大変です。

国立劇場のポスター撮影では、セットを組んで、歌舞伎役者さんを撮影するのですが、ポスターに登場する方々は、大御所の方ばかりです。尾上菊五郎(おのえ・きくごろう)さん・中村吉右衛門(なかむら・きちえもん)さん・片岡仁左衛門(かたおか・にざえもん)さんといったオーラがある方々を前にすると、非常に緊張しますし、場の空気が一瞬に変わります。

仕事以外の作品としては、富士山や日光、最近では四季の花が多いのですが、自分の興味あるものをずっと撮り続けています。

デジタル写真は、
さまざまなトライが簡単にできる

デジタルカメラを使い始めたのは意外と早く、もう15年以上になります。当時仕事をしていたある会社が、全面的にデジタル化するというので、それに合わせた形です。まだ600万画素くらいのカメラでずいぶん高かったことを覚えています。いまはキヤノンの「EOS 5D MarkV」と「EOS 5Ds」を使っています。歌舞伎を撮るとき、望遠は「5D MarkV」を使い、引いた絵を「5Ds」で撮影します。5Dsは画素数があるので、トリミングしても充分なクオリティーを保てるのが魅力ですね。

デジタル化していちばん便利だと思ったことは、その場で結果が見られることと荷物が少なくなったことです。昔のように、フィルムを何本も持って行かなくても済むのは楽ですね。だからこそ、メディア・バッテリーにはかなり気を使います。電池が切れたら、それこそデジタルカメラはただの荷物になりますから。

また、その場その場でいろいろなことを試すことができるのもデジタルの大きなメリットですよね。フィルム時代だと、色調を変えようと思っても、1本撮りきってからフィルムの種類を変えなければいけなかったのが、デジタルだと設定を変更するだけで、ホワイトバランスを簡単に変えることができ、さらにその場で効果まで確認できるわけですから。

▲三脚は常に携帯。作品づくりの必需品。

撮影時のブレだけは注意が必要

デメリットというほどではないのですが、デジタルはいくらでも撮れてしまうので、あとで選ぶ作業が大変です。ただ、安心して何度も失敗できるというのは、写真を始めたばかりの方にとってはいいことだと思いますね。

デジタルカメラは高性能・高画質になればなるほど、撮影時に細心の注意を払わなければなりません。特に高画素が進むと、ほんのちょっとのブレでも目に見える影響を及ぼします。私自身も、以前より安定性を求め、三脚を使った撮影が増えました。撮影後に加工しようと思っても、ブレだけはどうにもなりません。レタッチしようと思っても、撮影時にしっかり撮っておかないと難しい。これだけは、フィルムもデジタルも変わらない共通点ですね。

TALK ABOUT GRANNOTE

正確な色味を表現できる4Kディスプレイは、撮影現場でも重宝される美しさ

私がパソコンにいちばん求めるのは“画面の美しさ”です。ディスプレイで表現される色のキレイさ、正確さです。特に、ポスターの撮影のときは色が重要になってきますから、正確な色味を表現できる4Kディスプレイはありがたいですね。また、撮影の現場で役者さんに見てもらうにも、当然ディスプレイがきれいな方が喜ばれますよ。

今回GRANNOTEを触ってみて感じたのは、基本性能が高い、ということです。作品として撮ったサルの写真なども、かなり高精細かつ正確にディスプレイ上で表現されていると感じました。また、標準搭載されているサイバーリンク社製の写真編集ソフト「PhotoDirector 7 Ultra」も使いやすいですね。私の持論として、ソフトはあまり浮気しない、というのがあります。ひとつのものを使い続ければ、自然と上手くなるものです。使いやすいですし、初めて画像編集をする方は、このソフトを使い続けるのがベストだと思いますよ。

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