デジタル時代の写真論
デジタル写真は、仕上がりを
イメージして撮影することが大切
プロフォトグラファー
KONAN
1984年、和歌山県生まれ。カタログなどの商品撮影を主なフィールドとして活躍中。仕事ではデジタルカメラでの撮影がメインだが、プライベートでは中判(6×6)や大判(4×5、8×10)などのフィルムカメラ、さらには湿板という、古典的な技法を用いて作品を制作している。
バンドマンから一転、写真の世界へ
僕は仕事として写真をスタートしてから、ずっとデジタルカメラを使っています。だから逆に趣味というか、自分の作品として撮影するときはフィルムを使うんです。僕らはフィルムが珍しいと感じる"デジタルネイティブ"の世代なので、あえて古い技法を使うのが楽しいんですよね。たとえば、「ペッツバール」という100年以上昔に製造されたレンズを使ってみたり、「湿板」という、あえて手間のかかる古典的な技法で撮ってみたりもします。
実は僕、学生の頃から写真やカメラに対する強い憧れがあったタイプではないんです。元々大学は電気電子の学科を卒業したんですが、クリエイティブなことにすごく興味があり、卒業後もバンドをやっていました。普通の就職はほぼ諦め、バンド活動と並行して、友人のバンドのジャケットデザインなどもしていました。とはいえ、それはボランティアみたいなものです、自主制作って予算がないですから(笑)。その流れで写真も撮るうち、その魅力に魅了され、この世界に足を踏み入れました。 ただ、スタジオマンからキャリアをスタートするには、僕の年齢は少し高く、遅かったんです。それでまずは、知り合いでもあった、プロのカメラマンのアシスタントになりました。最初は無給でしたけど、その中で写真を学んでいきました。とにかく実践、叩き込まれましたね(笑)
仕上がりをイメージして、
適切なレタッチをすることが大切
仕事ではデジタルカメラで撮影します。使っているのは、キヤノン「EOS 1DX」か「EOS 5D MarkIII」です。デジタルで撮影する場合は、常にレタッチのことを考えて撮影していますね。大事なことは、撮ったあとで駄目なところをレタッチしようとするのではなく、最終的な仕上がりをちゃんとイメージして、それに向かって撮影する内容やライティングを考えた上で、適切にレタッチをしていくことです。
説明的な写真とイメージ的な写真とでは、求められるものも違います。しかしどちらにせよ、僕の仕事はクライアントが望む表現を形にすることです。その中で、僕の特徴である、フィルムっぽさや、デジタル過ぎない質感や空気感を大事にした仕上げを心がけています。
自然光や手鏡を使えば、
機材がなくても光は演出できる
レタッチ作業を少なくしたいときは、撮影時からライティングなどをしっかり作り込んで、時間をかけて撮影しますね。僕の場合はそれでも、レタッチ作業に5〜6時間くらいはかけます。気になる写真のほこり類や写り込んでしまった機材を消して、それから質感を整えるためにフィルターをかけ、トーンを調整して仕上げます。
でも、アマチュアの人がプロと同じことをしようとしても、機材などに限界があると思うんです。たとえば料理などを撮るときも、プロのライティングを真似ると、むしろその人の味は出ないものです。それよりも自然光を意識して、光の入る窓側での絵作りを考えたり、レフや手鏡で光を操るだけでも写真の印象は変わります。手軽なところだと、トレーシングペーパーを使うだけでも、なめらかな光を演出できて雰囲気のある写真になりますよ。ぜひ試してみて欲しいですね。
TALK ABOUT GRANNOTE
使いやすい画像編集ソフトとCPUパワーの高さでストレスフリー
今回、このGRANNOTEを使ってみて思ったのは、バンドルされているサイバーリンク社製の写真編集ソフト「PhotoDirector 7 Ultra」が思いのほか使いやすかったということです。普段僕が使っているソフトと比べても、インターフェースにしても、使い勝手にしても、決して劣っていません。個人的には、いろんなソフトの良いところを集約した「使いやすい画像編集ソフト」という印象を受けました。
プリセットされている効果やフィルターも直感的でわかりやすくていいですね。レタッチやRAW現像に初めてトライする人にも使いやすいと思います。それに最新のCPU、インテル® Core™ i7 プロセッサーのパワーに余裕があるからでしょうか、キビキビ動作するのも気持ちいいですよね。プロの現場では、撮影と同時にPCに転送して画面を見ながらチェックする「テザー撮影」を行うことがほとんどなのですが、GRANNOTEなら、その作業もストレスなく行なえそうです。
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