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富士通

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FMWORLD[個人]

デジタル時代の写真論

フィルムにはフィルムの、
デジタルにはデジタルの
良さがある

プロフォトグラファー

忽那 光一郎 / Kotsuna Koichiro

1973年、東京都生まれ。2000年代初頭から飛行場近辺で撮影した、航空機の航跡を写し込んだ夜景を作品として発表。2006年から個展「風速0」シリーズを継続的に開催。仕事での撮影のフィールドは建築をメインとしている。

▲忽那さんの作品。全国各地、また海外まで赴き、夜の空港周辺で撮影を行う。

元々は報道カメラマンに
なりたかった

僕は元々、報道写真をやりたかったんです。当時はマグナム(世界的に有名な報道写真家の集団)なんかの写真に憧れていましたね。しかし、写真の勉強をした「東京総合写真専門学校」は作家性の強いところで、いつのまにか、いまのような作風の写真を撮るようになっていました(笑)。

最初はとにかく大判(4×5)のカメラを使いたかったんです。初めて中判のカメラを使ったら、これまで使っていた35mmのカメラとは写真がまるで違って、「これは凄いな」と。それで、もっと大きなサイズのカメラに興味が出たわけです。当時はずっと建物の窓を撮っていました。ただすぐに、これは面白くないなと気づきました(笑)。それで、もっと広いところに行こうと、空港の周辺で飛行機を撮るようになったんです。

空港の周囲って、どこもそんなに変わりはないんですね。普通の倉庫だったり工場だったり。必要最低限のものの上に、飛行機が飛んでいるというのが好きなんですよ。余談ですけど、アメリカで撮影したときは、ニューヨークでテロリストと間違えられて捕まりかけたことがあります。三脚に大きなカメラを付けて、夜の飛行場周辺をうろうろしてれば、誰が見ても間違いなく怪しいですよね(笑)。

▲忽那さんの作品をまとめた写真集「風速0」

フィルムにもデジタルにも、
それぞれの魅力がある

作品の撮影は、いまでもフィルムを使っています。別にデジタルを否定しているわけではないんですが、デジタルで長時間露光すると、どうしてもノイズが乗ってきてしまうんです。最近のカメラはだいぶ性能もよくなりましたが、夜景を撮るときはまだフィルムで撮影しています。その後のプリントは、スキャンしてPCに取り込んで行なっています。

仕事の撮影はデジタルカメラを使います。建築物の撮影が主で、マンションのカタログなども多いですね。カメラはキヤノン「EOS 5D Mark III」を使っています。デジタルでの撮影だと、バレ(本来の被写体以外の機材などが写ってしまうこと)を後から消すことができるので、照明などは思い切って写してしまうことがあります。これもフィルム時代には考えられなかったことですよね。でも、そうしたデジタルの恩恵もあって、与えられる撮影時間は短縮傾向にあるんです。便利になった以上に、現場は慌ただしくなった気がしますね(笑)。

デジタルは撮影した後も重要

僕はそれほどレタッチが多い方だとは思いませんが、それでも撮影した後の作業は大変です。アシスタントもよく「目がチカチカします」とぼやいていますよ(笑)。デジタルならではの、細かい色のにじみなどを取り除く作業をメインにするのですが、どこまでやるかの線引きが非常に難しいですね。ほんの少しのことでも、モニター上で拡大して見ると気になるわけです。だから最低でも、モニターでチェックして気にならないところまではやります。

デジタル化されて、便利になった面も多くありますが、イメージのコントロールがしやすくなった分、昔より作業量は増えた印象があります。しかも僕が主にしている建築の撮影は、長期間にわたる場合がほとんどで、2年前に撮影したデータでもすぐ使えるように保存しておかなければならないんです。だから僕のPCはいろんなデータが満載です。片付けが苦手なこともあって、デスクトップはいつもごちゃごちゃしています(笑)。

TALK ABOUT GRANNOTE

大容量の約1TB HDDだから、昔の写真も保存できるのがうれしい

僕が普段使っているPCと比べると、GRANNOTEは4Kディスプレイのおかげで、質感が落ち着いている印象を受けました。輝度を細かく調整すれば、長時間作業するアシスタントの目も、チカチカしないで済みそうですね。

それに、画像をかなり拡大してもエッジの部分がガタガタしないのがいいです。これは画像の画素数との兼ね合いもあるのですが、よりハイスペックなカメラで撮影した写真を取り込んでも、GRANNOTEのスペックに余裕があるという証拠でしょう。あと、個人的には、かなり昔のデータもすぐに取り出せるように保存することを心がけています。ですので、外付けHDDを使っていますが、ディスク容量が1TBもあれば、その出番も減るかもしれません。もっとも、それだけあると、ますます片付けられなくなってしまうかもしれませんが(笑)。

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