知られざる生体認証の世界【第三弾】
手のひら静脈認証とは?

2015年12月17日

本人を確認する技術として、暗証番号、パスワード、ICカードなどの技術が利用されてきましたが、これらには盗難や忘却、偽造、不正譲渡などの危険性がありました。その代わりになる技術として、本人しか持ち得ない情報を利用した「生体認証」の技術が注目されています。近年では、スマートフォンなどでもその技術が普及してきました。
この「知られざる生体認証の世界」では、今までに「顔認証」「指紋認証」を紹介してきましたが、第3回目の今回は「手のひら静脈認証」を紹介します。あなたの大切な情報を守る、その仕組みを是非ご覧ください!

DNAが同じ双子でも違う手のひらの静脈パターン

目に見えない静脈のパターンを読み取る「手のひら静脈認証」は、高精度で、「なりすまし」などの不正行為に対して強堅です。静脈は体内情報なので、偽造が難しく、また、摩耗や湿度など外部環境に左右されにくい特長があります。体の他の部分ではなく手のひらが認証に適しているのは、太く本数の多い血管が複雑に交差していて、高い認証精度を保つことができるからです。

子供の場合は4〜5歳で静脈が安定して、その後、成長するにつれて手のサイズは変わっても、静脈のパターンは変わりません。また、たとえDNAが同じ一卵性双生児であっても、静脈のパターンは異なります。不思議ですね!「手のひらをかざす」ということも、年齢に関係なく自然な動きなので、認証時のわずらわしさがありません。

どうなっているの?手のひら静脈認証の仕組み

身体の中にある血管を、どのように読み取るのでしょうか。読み取りにはカメラを使いますが、普通のカメラでは血管までは写らないため、「近赤外線」と呼ばれる光を手のひらに照らして撮影します。静脈の中を流れる血液中の還元ヘモグロビンには近赤外線を吸収する性質があります。この性質を利用し、近赤外線で照らす事により還元ヘモグロビンがそれを吸収し静脈が暗く映し出されるので、手のひらの中にある静脈のパターンを読み取ることができるのです。

パソコンに搭載されている静脈認証センサーは、手のひらがセンサーに近づくと高速で連続撮影を行い、その中から認証に最適な画像を瞬時に選び出します。撮影した静脈のパターンは、あらかじめ登録された本人のパターンと照合され、同じものであれば本人と判定します。このとき利用者の動作は、センサーにさっとかざすだけです。その一瞬の間に、撮影からパターンの読み込み、照合、判定まで行われます。

どんどん進化する静脈認証

富士通は、2004年に世界で初めて手のひら静脈認証技術を金融ATM向けに実用化しました。それからも開発、改良を重ね、認証精度を保ちながらセンサーの小型化に成功、法人向けのノートパソコンやタブレット内蔵型などを製品化してきました。そして、今後も手のひら静脈認証は進化を続けていきます。

今回は手のひら静脈認証の特長と仕組みについて紹介しました。
次回は、虹彩認証の世界に迫っていきます。どうぞご期待ください!

<参考>
Fujitsu セキュリティラボ
第1回 認証方式の仕組みと安全性
http://www.fmworld.net/biz/security_lab/news/20150907/
Fujitsu プレスリリース
手のひらをタッチさせるような感覚で認証できる世界最小・最薄の非接触型静脈センサーを実用化 高速撮影機能、自動照合機能により、軽快な手のひら静脈認証を実現
http://www.fujitsu.com/jp/group/frontech/resources/news/press-releases/2011/0419.html

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