パソコン
小林:
開発段階でのプライオリティとしては、モビリティの観点から、まず薄くということですね。
牧野:
とにかく薄くすることが求められましたよね(笑)。
そこがまさに我々の仕事で、バッテリーの位置や液晶パネルの位置を工夫して薄くなるように設計するわけです。また薄くなっても剛性を落とさないよう、ボディにマグネシウム合金を使うということも考えました。
もうパズルですね。あっちのものをこっちに持ってきたり、ちょっとした隙間に入れ込んだり。どうやって組んだらいいのかいつも悩みます。結局、使い勝手を考えながら、さまざまな部品を動かしながら考えていくしかありません。外部モニタ端子など、大きいけれど絶対に外せないものもありますから、ほんのちょっとのスペースを見つけてポートを取りつけます。たとえばPCカードスロットのイジェクトボタンなどは、もうここしかないという位置になっていますね。
プライオリティとしては薄くの次は小さくでした。特にノートPCを開いた状態、つまり使っているときに本体サイズが小さくなるよう心がけました。具体的にはヒンジ位置の変更ですね。従来のモデルと比較すると分かりますが、液晶を開いた状態では新LOOX Tの方がずっと小さく見えます。
無駄に大きいのって、なんだか嫌じゃないですか。打ち合わせとかで、使っていて格好悪い。だから、同じ大きさでも小さく見せたいと思っていました。それと、使用音にもこだわりました。ある会議で、皆でノートPCを使ってたんですが、たまたま自分のLOOXが一番最初にファンが回り始めたんです。これが悔しくて、悔しくて(笑)。だから、新LOOX Tはぜひファンレスにしたかった。
いえ、かつてLOOX Sでファンレスをやりました。でも新LOOX Tは、CPUなどの性能の向上により、発熱量はずっと大きくなっていますので放熱にはいろいろ工夫しています。
発熱するパーツをできるだけ分散させて、ボディ全体で熱を逃がしています。また、メモリの位置などをちょっと工夫しています。ヒートプレートも従来よりもずっと大きなものを入れていて、全体に熱を分散させる役割を果たしています。またマグネシウム合金のボディも熱を逃がすのに役立っています。確かに苦労しましたが、ファンレスにはこだわりたかった。
それともうひとつ気になるのがクリック音。自分のマシンでも、仕事で使っているときにカチカチ鳴るのが結構気になっていたんです。激しくカチカチするとなんだか切羽詰まっているみたいで(笑)。だから本当はタッチするだけで全く音がしないものを考えていたのですが、クリック感がないと逆に操作しにくいという意見があったので、反発強度を軽くすることで適度なクリック音になるよう調整しました。ずいぶん違うでしょう?
バッテリーも年々性能が良くなっていますが、バッテリー容量を増やすこと以外にも使用していない部分の電力を抑えるといった、従来から一歩進んだ省電力も必要だと考えました。そこで新LOOX Tではボタン一つで省電力設定モードに切り替えられる省電力ユーティリティを搭載しました。通常はPCカードコントローラーなど回路全体に電気が流れていますが、あらかじめ設定しておくことで、使用する環境にあわせて、必要のないところへの電源供給のオン/オフをボタン一つで切り替えることができます。
ファンレスの静かさをぜひ体験してほしいですね。
薄く軽くコンパクトになったLOOX Tを一度手に取ってご覧いただければと思います。
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